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ラ・グランド・コリーヌ・ジャポンの目指すところ

果物の国で、ワイン用のぶどうを育てる

私たちの葡萄畑と醸造場がある岡山市北区津高地区は「マスカット・オブ・アレ キサンドリア」の温室栽培が最初に始まった土地であり、富吉村はそれを産業として初めて栽培した歴史ある土地です。岡山県のキャッチフレーズ“晴れの国”通りの恵まれた気候と、砕けた花崗岩でできた水はけのよい土壌が合わさり、果物の名産地として知られています。 こんなに恵まれた良質の果物を作れる裕福な産地でも、高齢化にともなう農業人口の減少が問題になっています。村人の平均年齢は65歳ぐらい。私たちの子供3人が通う 小学校は全校生徒あわせて16人しかいません。ここは空港から車で5分、岡山駅まで30分という交通の便利な場所であるのにも関わらず、このような状況なのです。 高齢化により耕作できる面積は年々減少します。作物を栽培していない農地を荒らさないため、皆が草刈りに追われますが、お年寄りが夏の猛暑の中、草刈り機を担いでいる姿を見るたびに心がいたみます。村の外れでは少しずつ耕作放棄地が増え、使われないガラス温室は朽ち果てていっています。あと10年したら、さらにこの状況は悪化し、農地に戻すのはとても難しくなるでしょう。 私のところには、「将来ワインをつくりたい」という若者からよく連絡がきます。 フランスでは労働許可の認可が下りづらいのですが、労働局に掛け合い、日本の若者に仕事を教え、手伝ってもらいながら人材を育成してきました。私たちも彼らから学ぶことが多かったです。農業を営みたい若者もいるのです。ただ、自分のワイナリーを立ち上げるとなるとかなりハードルが高くなります。レストラン業界なら、料理を覚えた若者はシェフになれますが、日本のワイン業界は小さいのでワイン造りを覚えても職は少なく、自分でワイナリーを立ちあげて独立しオーナーにならざるを得ません。もちろんそれが彼らの夢でもあるのですが、技術に加え、経営センス、そしてなによりも資金が必要となります。 現在日本でワイナリーを立ち上げようとすると数千万円から1億円必要だとされています。 これではやる気がある若者でも独立することは不可能です。

フランスと日本、ふたつの国でワインをつくる

私はフランスで20年間、自分のつくりたいワインを追い求めて走ってきました。 たくさんの人に助けていただき、なんとか自分が納得いくようなワインをつくれるようになりました。山を開墾して葡萄畑を作り、醸造場を建て、自分の家もつくり、やっとゆっくり仕事に専念できるようになったころ、フランスで生まれ育った自分の子供達を、日本人としての自覚ができるように日本で育てたい、という気持ちがとても強くなりました。 家では日本人として育てているつもりでも、どうしても子供たちはフランスの文化風習を吸収していきます。どちらがよい悪いというものではなく、質の違う文化なのです。私は、 相手の気持ちを察するという日本の文化が好きなのです(自分ができているとは思いませんが)。そして帰国を考え日本に目を向けると、農業人口の高齢化、耕作放棄地の増加などの諸問題を自分の問題として感じるようになりました。そしてこんな私でも、日本でできることがあるのではと思い始めました。 以下は、私が考えている「醸造用ぶどうを中心とした新しい農業のかたち」です。

古木と一緒に、もっとゆっくり働く

1. 耕作放棄地を減らすために

1-1 既存農家さんに少しでも長く耕作してもらう。
食用のマスカットづくり、特に種があるマスカット・オブ・アレキサンドリアは とても手間がかかります。葡萄の小さい花をそろえるなど目が弱くなってきたお 年寄りには特に大変な作業です。 「もう体力的に限界だからつくるのをやめて葡萄を切ってしまおう」、という方にお勧めなのがマスカット・オブ・アレキサンドリアを醸造用に栽培転化することです。 醸造用のぶどうは実がまばらで小さいほどワイン用への価値が高まります。 肥料と水を控え、葡萄の成長を抑える栽培を薦めます。 葡萄が老木ならば最適です。 剪定、誘引、摘心、収穫にかかる労働力は、生食用の1/5ほどで済みます。花や実に触れる細かい作業はありません。 ぶどうの樹勢が弱まりますので病気にも強くなります。よって有機栽培が可能になるのです。130年の歴史があるアレキサンドリアをラ・グランド・コリーヌ・ジャポンが微発泡酒に仕上げます。

1-2 より多くの面積を耕作できる。
同じ栽培方式をとれば、やる気のある方は、同じ労力で5倍の面積を耕作できます。現在というより、今の耕作面積を維持し、村の風景を荒らさないためには選 択肢はほぼないのではないでしょうか?

1-3 耕作放棄地をぶどう畑へ転換
醸造用ぶどうは収穫量が少ないほど凝縮した高品質なワインとなります。 耕作放棄地を転用し、景観を保つとともに新しい産業を興します。そのためには露地栽培できる病気に強い品種が必要となります。 残念ながら日本の気候ではヨーロッパ系の品種は向いていません。

1-3-1 品種開発
津高の育種家・林慎吾さんと共に、病気に強くワインに向いた品種を開発していきます。

1-3-2 岡山原産の絶滅危惧種「白神ぶどう」の保護
岡山原産のぶどう品種があります。 Vitis Shiragai と名付けられた「白神ぶどう」です。 栽培を試みて保護し、単体での栽培が難しい場合は交配種をつくっていきます。

1-4 ガラス温室の活用
ガラス温室は雨が入ってこないので病気になりづらいです。 こちらに病気に弱いヨーロッパ品種を栽培し、ガラス温室の維持をしていきます。 ガラス温室の側面にぶどうを植えれば、根は温室の外に広がっていくので、水をやる必要がありません。地中に埋められた農業用水が老朽化して維持コストがかかるという問題も関係ありません。

2. ワインづくりを目指す人材の育成

2-1 低コストワイナリーの立ち上げモデル 皆さんのワイナリーのイメージはどのようなものでしょうか。 素敵な建物にピカピカのステンレスタンクがならび、立派な瓶詰ラインがある工場のイメージが大半だと思います。ワインの生産量が多いところでは、作業を効率化させるためにこのような 施設が必要となります。ところでフランス・ブルゴーニュなどでは小さな造り手が多く、醸造は農家の納屋で行われています。ぶどうは踏めばワインになるので立派な施設は必要ではありません。タンク、プレス、樽、瓶詰機さえあればワインはつくれるのです。 ワインづくりは投資した資金の回収にとても長い年月がかかる事業です。ぶどうを植えてから実をつけるまでに3~4年。それを醸造し樽で寝かせたら更に1年。初収入が創業5年後以降となります。そのため、初期投資を抑えることはとても重要なのです。今回この醸造場を立ち上げるためにヤフオクなどを使用し中古品を揃え、設備に400万円ほどかかりました。フランスから持ってきたプレスや樽などものもあるので、それらを購入したとしても600万円ほどで収まっています。

2-2 ワインづくり現場での研修
2017年の初醸造に向け、1件の委託醸造を受けました。新見市でぶどう農家を営む保坂さん夫妻です。一緒にぶどうの収穫日を決定し、醸造中も毎日タンクの世話をし、ワインづくりの勉強をしていただいています。出来上がったこのワインが高評価をいただければ、独立後の販路も確保できます。技術、販路を得ながら投資を遅らせられ るので大きなリスクを背負うことなくスタートできます。 福岡でビストロを営んでいた元研修生でソムリエの山下さんも岡山に移住し、一緒にプロジェクトを進めています。仲間が増えればワイナリーも増え、岡山はワインの産地になっていきます。



大岡弘武(おおおかひろたけ)さんは、明治大学理工学部を卒業後フランスへ渡り、ボルドー大学醸造学部でワイン全般を学んだ後にローヌ最大手ギガル社のジャンルイ・グリッパが所有していたサンジョセフの区画における栽培責任者を務めました。
その後、北ローヌ地方を代表する自然派ワインの生産者で最高のコルナスを造ることで知られるティエリー・アルマンに師事、最後は栽培長を任されるまでになりました。

師アルマンとの出会いは、大岡さんが後にワイン造りを始めるにあたって決定的と言えるもので、ブドウ栽培から醸造に至るまでのほとんど全てにおいて影響を受けたようです。
醸造での人的関与を必要最低限に留める自然なワイン造りを実践するために最も大切なことは良いブドウを育てることに尽きるのですが、花崗岩に覆われた急斜面で夏は極めて暑く冬が寒いコルナスにおいては、畑仕事に費やす労力はいっそう厳しいものになります。
大岡さんは、アルマンの下で働くことにより栽培や醸造に関する考え方だけではなく、厳しい労働に耐える強靭な精神力も身につけたと言えます。
自分の本拠地を北ローヌと決めた理由について、畑における労働が最も厳しい土地であったから、と語っていたことが印象的です。

現在の大岡さんは、ティエリー・アルマンから完全に独立を果たして13種類のワインを造っております。
ブドウは、彼が所有する畑、借りている畑、そして信頼のおける生産者から購入したもので構成されております。
栽培はビオロジックを実践しており、除草剤や化学肥料は使用しません。
農薬は化学合成薬品ではなく,硫黄(ビオディナミの認証団体である「デメテール」で認可されているもの)に限定し、使用回数も極力減らしております。
また、2月から3月にかけて行う遅い時期の剪定で徹底して不要な芽を取り除き、遅霜の影響を大きく受けるリスクは高まりますが、青刈りが不要となる理想的な収量制限を実現できることも栽培における特徴的なことでしょう。
「少量でも構わないから良いブドウだけを育てたい」、大岡さんの畑仕事における考えです。

醸造においては、その土地に育つブドウが醸し出す、純粋かつ繊細な果実味を楽しんでいただくことを目的として、野生酵母による自然な発酵とビン詰めに至るまでの全ての過程において酸化防止剤を使用しないことが特徴です。
そのため、単に収量が少ないだけではなく、収穫されたブドウを更に選別して傷んでいない果実だけを使った醸造を心がけています。
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